達磨(だるま)は単なるフィギュアやオブジェではありません。不撓不屈の精神や、真理を探究する飽くなき情熱を目に見える形で体現した、祈りの象徴です。
モデルとなっているのは、5世紀後半から6世紀の初めにかけて活躍した、あるインド人の仏教僧でした。中国に仏教を伝え、中国禅宗の開祖とされた人物です。9年もの間、壁に向かって座禅を行い、手足が朽ち果ててしまったものの、精神は衰えることなく、ついには仏法の真理を悟ることに成功したとされています。
幾多の災難にも屈することなく、探究を続けたこの伝承から、日本では江戸時代から達磨の座禅の姿勢を真似た紅白の人形が作られ、幸運をもたらす“縁起物”として人気を集めてきました。重りを入れ、倒しても自動で元の形に戻る「起き上がり小法師(こぼし)」や、願いを込めて左目を描き、成就すると右目も描き入れる「目入れだるま」などです。
今回の作品は、伝統的な達磨のイメージをふまえたうえで、配色や外観を一新しました。肌ざわりや髪の質感はリアルに、真理を探究する要とも言える眼球は、動かして様々な表情を作れるようにし、洗練された空間にも馴染むよう工夫しています。
カラーは金、赤、黒、青の4色で、それぞれの色をイメージした漢字を腹部にあしらっています。金の達磨はペルシャ人の顔で、豊かさを表す「金」の文字。赤はインド人の顔で、幸運を表す「福」の文字。黒は深みのあるブラックとシルバーで、不老不死のアジア人の顔を組み合わせ、高い精神性を表す「気」の文字。青は中欧をイメージしたブルーとシルバーで、勇気と決意を表す「勇」の文字を描きました。
いずれもアーティストが1点ずつ、すべて手作業で制作しています。目指すべき姿を託すことも、補いたい要素として手元に置くこともできる達磨は日本で100台限定販売します。